上京まで3ヶ月なので,物件探しに取り掛かっている.物件探しの上で一つめんどくさいのが物件探しで,インターネットがあるにも関わらず,更新されていないSUMMOの空き状況などと格闘しながらの物件探しはストレスフルだ.
そこで不動産業界について色々と調べてみると,インターネット以前を前提とした業界構造や契約フロー,利権がらみの関係などの日本風の問題がたくさん見られたので,忘れないうちにまとめておくことにする
家探しで最も一般的な手順は
SUUMOやLIFULLホームズのような物件情報サイトをもとに物件を探して,住みたい地域の不動産屋とやりとりして候補物件を絞り
候補物件を管理する不動産会社(エイブルXX支店,アパマンショップYY支店など)へ問い合わせを行い,
店舗に赴いて実際に内見し
各種契約書類を不動産会社に提出する
というような流れである.
賃貸契約の流れで最も疑問なのが,「不動産会社が本当に全ての良い物件を紹介してくれているのか」という点で,これは,我々がSUUMOのような物件情報サイトで見ている情報と,不動産会社が参照している情報サイトが異なっているのである.
(完全にリサーチしきれているわけではないが)不動産会社は独自の物件検索データベースを持っており,SUUMOのようなサイトでは,これらの不動産会社から物件の紹介料をもらう代わりに,物件の情報と問い合わせリンクをSUUMO上に公開している.
物件検索自体は不動産会社のサイトからも行えるため,不動産会社ごとのサイトを使用せずにSUUMOのようなサイトを消費者側が使うメリットは,複数の不動産会社が公開している物件情報を横断的に調べることができる点である.
しかし,情報技術を前提にすれば,賃貸や不動産の契約にこれだけの主体が関わる必要は本来ないはずである.インターネット以前であれば,それぞれ地元の不動産屋が地元の大家からの物件情報を募り,それらを紹介するという「情報のハブの役割」としての合理性があったが,2000年代の時点ですでにインターネットによってこの情報非対称性は破られており,インターネットを前提にするなら消費者と大家や不動産所有者を直接的にマッチングすることが合理的である.(契約に伴う第三者として煩雑な手続きを代行したり,調整する意味での仲介業は必要だが)
上記の理想は技術的には簡単に達成可能できるものの,制度の問題や産業構造の問題によって達成されていない.
日本において物件の情報を最も網羅的に持っているのは不動産流通機構という公益財団法人で,不動産会社は流通機構が運営しているREINS(レインズ)というシステムに登録されている物件情報を閲覧することができる(正確にはREINSは賃貸契約を対象としていないが,簡単のために賃貸契約と不動産を区別しない).不動産会社は全ての不動産契約をREINSに登録する義務があり理論的にはREINSには流通している全ての不動産情報が入っているはずだが,実際にはその半分程度であるとの推測もある.REINSは認可された不動産会社しか利用できないので,一般消費者はREINSのデータを参照できず,不動産会社のサイト,あるいはさらにSUUMOのようなサイトを経由して未更新のデータを参照する羽目になる.
REINSの元となったアメリカのサービスであるMLS(multi listing service)では,全ての国民があらゆる国内の物件情報を参照できるらしい.(実際には,MLSのデータを公開するサイト Zillow などを経由して調べる)つまり,不動産会社や情報サイトを通さなくとも,消費者は全ての物件情報を(比較的新しい状態で)参照できることになる.
このような問題は物件囲い込み問題などとも呼ばれているが,日本の不動産業界の抱えるこの問題は,既得権益によってかなりの部分を説明できる.
REINS,不動産の情報などを広く提供することを不動産流通と呼ぶそうだが,不動産流通には国交相の認可が必要だそうで,現在認可を受けているは東日本,中部,近畿,西日本4ブロックの指定流通機構という公益法人である.公益法人なので,不動産業界と国のあいだでズブズブな関係を築いているはずなので,問題の解決のためにはここら辺の制度的な側面から切り込んでいく必要がありそう.
この問題に対する指摘はここ10年くらいでかなり増えているようだ.(SUUMOのようなポータルサイトが結局のところ不動産会社への斡旋にしかなっていないという辛さとかが根っこにある気がする.)